mainichiwayang’s diary

ジャワでダランとガムラン修行中の大学院生です:)

ワヤン練習

今回は自分のワヤン練習のことについて書いてみたいと思います。

 

わたしはスラカルタの芸術大学(通称ISI)で影絵芝居ワヤン・クリッの人形遣いダランの実技を学ぶ学科(jursan pedalangan)に留学しています。授業のことなどは機会を改めてまた詳しく書こうと思いますが、わたし自身も数年前からダランの実技を勉強しています。留学自体は今回が初めてで、まだ2ヶ月目なのですが、11月の頭に大学でHari Wayang Dunia(世界ワヤンの日)というイベントがあり、そこでわたしも30分程度ワヤンを上演することになりました。ハンガリーから来た留学生の女の子も一緒です。彼女は出陣の場面を、わたしはポノカワンとアルジュノの場面とチャキルとアルジュノの戦いの場面を担当します。

 

聞くところによると、会場はISIで一番大きなプンドポ(伝統的な建物)で、しかもプロの演奏家が伴奏してくださるとのことなので、嬉しい反面、わたしなんかでよいのかという気持ちもあり…今からとてもドキドキしています。でも、ついにプンドポデビューということなので、楽しめるようにますます頑張りたいと思います。

 

というわけで、最近はこの本番のために週に3回、夜に大学に集まって練習しています。先程も練習をしてきたところです。

ダラン科の学科長の先生が、留学生を集めた練習をしてくださっていたのがワヤン練習の始まりだったのですが、最近は一般の学生もたくさん手伝いに来てくれてガムランの伴奏をしてくれます。ここ2週間ほどで本番に向けた練習が盛り上がってきています。

 

練習では、マイクをつけて音楽と合わせながら自分が発表する場面を通します。いつもは先生と2人で個人レッスンなので、ガムランの拍を意識しつつ数えたりしながらイメージトレーニングをしてはいるのですが、いざ生のガムランと合わせてみると、慣れない状況に戸惑ったり、人形の手が引っかかったり、ある動きをうっかり忘れてしまったりと事故が起きたりもします。通すたびに、毎回色々なことを反省します。それでも、わたしの動きに先生や友人が太鼓で合わせてくれるのがわかって、そういう相互作用を実感できるのが、生で練習をする醍醐味だと感じます。折角の機会をいただいたので、本番まであと2週間ちょっと、丁寧に完成度を上げていこうと思います。

 

わたしがレッスンでついているワヤンの先生もも学科長の先生も、わたしが少しでも間違えたり気になるところがあると、そこを取り出して何度も何度も懇切丁寧に教えてくださいます。(ここは現地の学生と違うところだと思う。)学生さんたちも他の練習で結構忙しいらしいのに、毎回練習に来てくれる子たちがたくさんいて、ジャワの人は本当に親切です。しかも終わるたびに毎回みんな拍手してくれます。(なんて優しいんだ…。これに恥じない公演をしたいです。)学生の中にも、合わせるのは初めてなのに、いきなり太鼓やグンデルができる人もいて、学生のスキルの高さに日々驚かされています。また、練習の合間に学生さんたちと仲良くおしゃべりをすることが増えてきたのが、最近とても嬉しいです。

 

ハンガリー人の女の子は、カラウィタン科(ガムラン演奏)に留学しているのですが、留学生のワヤン練習に参加するようになり、先生から今回のステージに大抜擢されました。ワヤンもガムランも初めてだという彼女ですが、始めて2ヶ月足らずで立派に出陣の場面をこなせるようになってしまいました。歌を歌ったり、台詞を言ったりもしています。覚えるのが速くてびっくりです…。以前よりは人と比べてわたしはどうだとか考えなくなったけれど、(もちろん彼女も相当頑張っているのだと思いますが)こういうのを見てしまうと、つい不器用な自分に目がいってしまうことも…。

 

そこで少し考えてみました。わたしはわたしで、アルジュノさんがチャキルを倒すところまで音楽と合わせて通せるようになりました。確か半年ちょっと前にランバンサリでミニワヤンをやった時、「この続きをお楽しみに!」と言ってワヤンを終わりにしたのですが、その続きが完結したということです(^^) 先生がおっしゃるところのCakil mati です!(チャキルが死ぬという意味。)

 

そうだ、わたしはわたしなりに前に進んでいるのだ。

 

ジャワに来て知ったのは、言葉もわからずに、インドネシアに来るヨーロッパの留学生が結構たくさんいるということ。何もかもが新しいということはある面ではとてもいいことだと思うし、きっと色々なものを収穫して帰るのだろうし、彼らの勇気は本当に素晴らしいと思います。自分の専攻以外にも興味をもち、色々な芸能にチャレンジする友人がたくさんいます。

そういうエネルギーに圧倒されそうになるけれど、わたしはどちらかというと自分のやりたいことを腰を据えてじっくり勉強したいという気持ちがあるので(留学してワヤンを勉強したいとずっと思ってきたわけだから)ほかの留学生から良い刺激を受け取りつつ、マイペースで頑張りたいなと思う最近です。自分の軸をしっかり持たないといけないなと実感するようになりました。

 

実際、今までの経験や先輩方が教えてくださったことにかなり助けられていて、これも日本にガムランの豊かな演奏の土壌があるからなのだろうと実感しているところです。このことに感謝しつつ、半年前のミニワヤンの続き、これからどれだけクオリティを上げられるか、どれだけレパートリーを増やして日本に帰れるか、これからもチャレンジを続けたいです。

 

また書きますー(^^)

(わたしとチャキルの写真は友人が撮ってくれました)

 

f:id:mainichiwayang:20181023032341j:image
f:id:mainichiwayang:20181023032338j:image