mainichiwayang’s diary

ジャワでダランとガムラン修行中の大学院生です:)

年末年始、新しい友だち akhir tahun ke tahun baru dan teman-teman dari Singapura

新年初投稿です。新年なので、少し時間が経ってしまいましたが、年末年始の思い出を振り返ってみようと思います。年末年始は初めてソロで過ごしたのですが、その間に新しい友だちが増えました。

 

留学中の楽しいことの一つに、世界各地に友だちができるということがあると思います。こちらに来て、ジャワの人はもちろん、アジアやヨーロッパ、南米まで様々な出身の友人ができました。みんなそれぞれに色々な経験や背景を持っていて、とても興味深いです。

 

その中の一人に、シンガポールから来ている留学生の友人がいます。彼はガムランを勉強していて、ソロでの留学は今回が2回めなのだそうですが、そのことからもわかるように、本当に熱心な学生です。とにかくどんな楽器でもできる…!(だからとても楽しそうです。)そして、経験が長いこともあってか、ジャワの人とのつながりもたくさんあり、かつ技術的にも人柄的にも信頼が厚いのでどこに行っても「グンデル(楽器名)弾きなよ〜!」とおじさんたちに大歓迎されています。そんな彼をいつもすごいな、わたしもはやく上手くなりたいなと思いながら見ているのですが、年末、そんな彼の友人2人がソロに遊びに来ました。年末から年始にかけて10日くらい、よく4人で色々なところに行ったり、一緒にガムランをしたりしたのですが、とても楽しい時間でした。

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4人で撮った写真

まず最初にいくつか一緒に出かけたところを紹介します。

 

こちらのクリスマスはお店がクリスマスっぽくなるくらいで、お正月という概念もないし、まず全然寒くないので、日本人のわたしは正直全然年末年始のような気持ちになれませんでした。しかも、クリスマスが終わった後にお店の前を通ると、まだクリスマスの飾りがついている…!いかにもジャワらしいです。そんなクリスマスに我々が向かったのは、Astana MangadegとAstana Girilayuという、マンクヌゴロ王家の代々の王様たちの眠るお墓でした。ここには、マンクヌゴロ王家の王宮である、マンクヌガラン王宮の舞踊団パカルティpakartiのみなさんと一緒に行きました。毎年お参りに行っているそうなのですが、このお墓はマンクヌガランからは車で1時間ほど、山の高いところにあり、特にAstana Mangadegはさながらちょっとした山登りのようでした。写真があまりないのですが、Astana Mangadegは途中バリ寺院のような雰囲気で、バリのカヨナン(ジャワのグヌンガン)のレリーフのある門もありました。お墓にお供えしたお花がとてもいい香りでした。お花は花びらを撒くようにお供えするのが日本との大きな違いですが、それぞれの王様のお墓の前で、少しの間黙祷をし、腰を低くしてひざまずきながらお参りをします。緑豊かな山の中に、尊い雰囲気が流れていました。こんなクリスマスの過ごし方もいいものだなぁと思いました。

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一緒に舞台を観に行ったりもしました。まずはマンクヌガランのsetuponの様子。今回わたしは出なかったのですが、シンガポール人の3人は演奏をしていました。

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setuponにて

また、29日には、パカルティのみなさんがワヤン・オラン(ワヤンを人が演じるもの)を伴奏するということだったのでみんなで観に行きました。2枚目左のアノマン(左の白い方)が宙返りしたり、柱をよじ登ったりして、だいぶアクロバティックでした。

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karanganyarの舞台にて

この間、いろいろ出かけたりしつつも、レッスンは通常営業だったので(むしろ先生方が「お休みで時間があるならどんどんレッスンしよう!」という感じで)本当に年末感がないままあっという間に大晦日になりました。ですが、大晦日の夜にはどこからか花火の音が聞こえたり、道が混んできたりして、ソロも徐々に年末ムードという感じでした。

大晦日はパカルティのみなさんと先生方のお宅でパーティーをしました。途中、なぜかトウモロコシを焼く流れになり、みんなで大量のjagung bakar(焼きトウモロコシ)を作りました。年末には必ずそうするのかと思ったので「どうしてトウモロコシを焼くの?」と聞いてみたら「え、そこにトウモロコシがあるから焼くだけだよ!」と言われました。特に意味はないみたいです…笑 みんなでわいわいとても楽しく、久しぶりのトウモロコシもおいしくいただきました。

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大晦日のパーティーの様子①
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焼きトウモロコシの様子

その後、わたしの住んでいる家の大家さんをしている先生(この方はわたしの行っている大学の先生)のお宅で年越しクルネガン(ガムラン演奏会)があったのでシンガポールの友だちと一緒に聴きに行きました。

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メンバーのほとんどが大学で教えている先生方の演奏だったので、聴いていて本当に心地よかったです。年明け直前には、部屋を真っ暗にして演奏し、瞑想しながら聴きました。暗くて誰にも見えなかったので助かったのですが、聴きながら、なぜかぼろぼろ泣いてしまいました。一年分のいろいろかな。充実していたけれど、前半多忙だったり、悲しいことも多かったし、慣れないジャワでの生活もあったりしたので、今年は穏やかな気持ちで修行に打ち込めるといいな。

友だちもいつものように先生方に呼ばれて太鼓を叩いていました。いきなりだったので、終わった後に「合図も上手く伝わらなくてヒヤヒヤしたし、ぐちゃぐちゃだったよ〜、今回のセメスターはやり直さないといけないかも…笑」なんて言っていたのですが、そういうスリルも含めて、先生方との合奏に参加できること自体が、心底うらやましいとわたしは思ったのでした。

ちなみに、この夜最後に聴いたのが、愛するアヤッアヤアン・パムンカスAyak-ayakan pamungkas(曲名)だったので、絶対いい一年になると確信しました…(うふふ。)

 

元旦は、シンガポールから来た2人と一緒に、有名な芝居小屋のあるスリウェダリという場所にワヤン・オランを観に行きました。この日は演者全員が男性だったので、女性の役を男性がやったりしていることもあり、そのせいかよく笑いが起きていて大盛り上がりでした。女性のような声で歌う役者もいたのには驚きました。ジャワの舞踊の世界には性別に関係なく、男性が女性を演じたり、女性が男性の踊りを踊ったりすることががあるのが、面白い点の一つだと思います。元旦からお客さんがたくさんいて、こういうお正月を過ごすジャワ人がたくさんいることは素敵だなと感じました。

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スリウェダリのワヤン・オランと終演後に食べたソト

ソトが大好きすぎるのでいつかソトのことでブログを書きます。お雑煮がなくても元旦からソトを食べて幸せです。

 

シンガポールのみなさんは3日に帰ってしまったのですが(留学生の彼も一時帰国)帰国前日に、わたしのグンデルの先生にレッスンを受けることになっていました。わたしもその前に新年初レッスンを受けていたので、その流れでなぜかわたしも彼らとJineman Uler Kambang(曲名)を習うことになりました。女の子はシンデン(女性の歌)を、男の子は太鼓を、わたしはグンデルを、そして留学生の友だちはサポート役という配役に。

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レッスン中

旋法が普段習っているものと違かったので、慣れておらず、正直あまり弾けなかったのですが、練習すればいつかできるようになる程度には仕組みがわかったので、思いがけず、曲のレパートリーが増えてよかったです。

 

シンデンはテープを聴いて独学で勉強してきたのだそうです。今回は細かいニュアンスを先生に確認していました。彼女は曲を作ったりもするそうなので賢いです。

彼もガムランを始めて3年ほどしか経っていないそうなのですが、ガンビョンgambyongやメナコンチャルmenak koncar(舞踊曲)を叩きこなせるので、驚きました。そしてそれを教えたのは留学生の友だちなんだとか。しかもこの太鼓を習った彼は、自称日本のオタクで、日本が大好きと言っていました。日本語を勉強したことはないけれど、アニメをたくさん見たり、日本に何度も遊びに来たりしているので、たくさんの日本語を知っていました。わたしとは半分くらい、日本語で話していたかもしれません。片言ではありましたが、それでもその語彙の多さに圧倒されました。

 

シンガポールにもガムランがあって、いくつかグループがあるということは知っていたのですが、今回実際シンガポールのガムランコミュニティの人と知り合って、思ったのは

 

pintar sekali ......... ! ! ! (超かしこい!!)

 

ということでした。

こんなに能力のある人たちが別の国でガムランを頑張っていると思うと嬉しくなります。わたしももっともっと上手くなりたいです。

ガムランはもはやジャワだけの音楽ではないということをまた強く実感させられました。

 

また、彼らがわたしの母国である日本のことを好きと言ってくれたり、日本でわたしが所属しているガムラングループのランバンサリのことを「まるでジャワの人の演奏みたいで本当に素晴らしいね!シンガポールはまだまだだから頑張らなくっちゃ。」と褒めてくれたり(2018年のIGFの演奏をソロで聴いてくれたそうです。)したことが、とても誇らしくあり、一方で思うこともあり…

 

日本っていいなぁとよく言われるんです。こちらに来てから特に。

 

そういえば

「日本は本当にいい国だね、日本人なんてうらやましいな。こんなところに留学しなくったって、日本で勉強した方がいいじゃないか。」

とジャワのタクシーの運転手さんに言われたこともあります。(いや、褒めすぎでしょう…)

さて、現状日本は果たして彼らがイメージするほどのいい国なんだろうかと、政治家の汚職や、犯罪、種々の社会問題など、よくないニュースばかりが飛び交う最近の状況を見て、思ってしまうのです。

 

外の人から「日本のイメージ」について語られる機会がジャワに来てからぐっと増えたので、「日本のイメージ」とその理想と現実、みたいなものについて考えることが多くなりました。今わたしが日本のためにすぐに何かできるとは思わないけれど、いつか何かできるだろうか、わたしは日本人としていかに生きるべきか、というようなことをふと思うようになりました。(このあたりはもうちょっと時間が必要そうです。)

 

少し話がそれましたが、まとめると、シンガポールでガムランをしている人たちはとても能力が高く、そしてとても親切にしてくれたということです。これまでわたしの中ではそれほどイメージのなかったシンガポールでしたが、これを機に彼らの故郷がどんなところか、はたまたどんなところでガムランをしているのか、シンガポールに行ってみたいなあと思うようになりました。聞くところによると日本のお店や食べ物もかなりあるらしくて面白いそうです。ジャワからは比較的近いので、近いうちに必ず遊びに行きたいです。

 

とても楽しかったので、急に一人になってしまい、シンガポール人ロス気味ですが、3日以降もレッスン漬けの日々を送っています。最近のレッスンのことなどもまた近いうちに書きたいです。

 

長くなりましたが、最後まで読んでくださってありがとうございました。今年はもっとみなさんに楽しく読んでもらえるように更新頑張ります。

Terima kasih :)