mainichiwayang’s diary

ジャワでダランとガムラン修行中の大学院生です:)

ローフィットさんとジャワで再会

ハナジョスとして、奥さまのひろみさんと、ワヤンをはじめ、ジャワ芸能の公演活動を日本各地でされているローフィットさんにソロで再会することができました(^^)

 

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ローフィットさんは今回ソロのとなりのジョクジャカルタに帰省中。昨日、ソロのTBSでのワヤンにを家族と観にいらしたので、そこでお会いすることができました。

 

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ローフィットさんとは去年のランバンサリ日暮里公演ぶりの再会でした。デウォルチというお話を上演した時です。

 


✳︎ちょっとだけ思い出話しを挟みます…✳︎

 


あの時一緒にデウォルチを作り上げていったことは今でもわたしの心の支えの一つになっています。あの時ローフィットさんのうしろでダラン補佐をさせていただいたこと、普段の練習中もローフィットさんの代わりにsuluk を歌ったり合図を出すために練習をしたこと、あの時勉強したことが今ダラン科での勉強にとても役に立っているからです。

その時のローフィットさんとの思い出の中で、特に印象に残っているのは、わたしやランバンサリの折田さんの人形をキラキラしながら嬉しそうに眺めていたこと、人形をとにかく大切にされている姿、そしていつでも楽しそうにワヤンの話をしてたくださったことでした。ローフィットさんのワヤン愛、すごいなぁと感動したことを強く覚えています。

 


自分が単純にデウォルチが大好きだということもあり、ジャワでの生活を始めてからも、日本がさみしくなるとローフィットさんのデウォルチの録画をよく観ています…笑

 


途中ビモのお父さんの風神バユが

 


「ンンンンンン、いつもお前を見守っている!!!」

 


と息子に言い残して天界に帰っていくシーンがあるのですが、録画を見るたびなんとなく、バユはわたしのジャワ生活も一緒に見守ってくれているだろうと、勝手にそんな気持ちになってしまいます…笑 ローフィットさんのワヤンのキャラクターたちがとても好きです。

 

 

 

なぜわたしがデウォルチにこんなにこだわるのかというと、デウォルチというお話自体にも個人的に深い思い入れがあるからです。(いつかその話はゆっくり別の記事にしようと思っています。)デウォルチは、主人公のビモが生命の水を探す旅の途中で、デウォルチという自分そっくりの小さな神さま、自分の中の本当の自分に出会い、人間的に成長するお話です。

 


すごくざっくり書くと、今わたしがなんとか元気に活動できているのはデウォルチというお話に出会って、その奥深さに感銘を受けたという過去の経験がとても大きいです。それはもう何年も前の話ですが、それからビモだけでなく、わたしの中にもきっとわたしの中の本当の自分、すなわちデウォルチがいるはず、だからわたしも自分のことにとことん向き合って生きよう、デウォルチを探そう…といつも思っているんです。

 


わたしがローフィットさんのデウォルチに会ったのは数年前のせんがわ劇場と、日暮里公演だったのですが、ローフィットさんのデウォルチにはいつも元気をもらっています。だからローフィットさんのデウォルチにまたいつか会える時まで、自分ももっと成長していよう、ジャワでの修行を頑張ろうと思っています。なので、去年の日暮里公演での経験は今でも、ソロで修行中のわたしを突き動かす原動力の一つになっています。

 

 

 

✳︎さて、時間軸を昨日の夜に戻しますと…✳︎

 

ワヤン会場では幕の横に色々な屋台が出たり、ワヤンを売っていたりするのですが、昨日はローフィットさんご家族が到着されてから、まず屋台で一緒にご飯(mie Ayam、鶏肉の麺料理)を食べました。

この屋台自体がすごくおいしいかったのですが…!

ワヤン上演はちょうど最初の戦いの場面(perang gagal )をむかえていました。わたしはいつもは最初から最後までじっと座ってワヤンを観ていることがほとんどなのですが、今回はワヤンをなんとなく聴きながら、久しぶりのローフィットさんとの再会を喜びつつ、おいしいmie を食べる!なんて贅沢で幸せな時間なんだ、幸せ…と思いました(♡)

 

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ご飯の後

「さあ、ワヤン観ましょう…!」

とおっしゃったローフィットさんの声からしてすでにワヤン好きのワクワク感が伝わってきて(そこで去年の日暮里公演で人形をキラキラしながら眺めていたローフィットさんを思い出しました…)わたしもとてもワクワクしました。

 


昨日のダランはKi Mudho Wibowoさんでした。わたしの先生によると(わたしの聞き間違いでなければ)この方はKi Matebの1番目の奥さまとの息子さんなのだそうです。父親譲りなのか、このダランも人形さばきが圧巻でした。(Mantebさんも人形操作が神がかっていることで有名なダランです。)ソロ様式とジョクジャ様式、そして時にはスラゲンという地方の音楽を取り入れ、特に冒頭がクラシカルで、わたし個人的にはとても面白かったです。(今日は朝一で授業だったのに一晩観てしまいました…笑)

 

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ワヤンを見てすぐに話を理解できるほどのジャワ語はまだ全然身についておらず、いつもなら話の内容についていくのはまだ難しいのですが、ローフィットさんが隣にいらしたので色々と説明していただき、いつもの何倍も楽しむことができました。

 


途中ローフィットさんは、出店のワヤンの人形屋さんに行き、そこにあったいちばんいい人形を購入して、嬉しそうに見せてくださいました。そういえば、昨日ローフィットさんに最初にお会いした時にはすでに、舞台の脇にあるお店で買ってきたガピット(ワヤンの支柱)を握りしめていたっけ…

ああ、ローフィットさん、本当にワヤン好きなんだなぁ、いいなぁと、ローフィットさんの熱さにあらためて感動しました。

 

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わたしも自分用のチュンポロが欲しかったので、昨日出ていたお店で購入することになったのですが、ローフィットさんの妹さんの旦那さま(この方もダランだそうで)に選ぶのを手伝っていただきました。値段の相場もわからなくて少し不安だったので、とても助かりました。ありがとうございます。ますます練習します。

 

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最後に、昨日ローフィットさんの一言で強く印象に残ったことがあります。

 


個人的にすごく面白い上演だなぁと思ったので、ローフィットさんの感触も聞いてみたくて、ローフィットさん的にはどうですかと尋ねた時のことです。

 


「良し悪しは人によると思うし、確かに人形さばきはうまいけど、やりすぎて人形をうしろに投げたりするでしょう…?それはダランとしては良くないと思うね、人形を大切にしていないということだから。」

 

 

 

あー、なるほどー!!!

 

 

 

 


人形操作を派手にインパクトあるものにするために、最近のワヤンでは人形を派手に投げ飛ばしたりする演出がしばしばあります。本当にしょっちゅう見るので、自分の中ではなんとなく当たり前かなと、思ってしまっていたのですが、確かに「人形を大切にしていない」ですよね。

 


(あ、昨日のwibowoさん個人を人形を大切にしていないと批判する気は一切ありません。わたしは、彼のワヤン自体はとても好きです。)

 


「人形を投げ飛ばす」ことは、パフォーマンスを派手にするとか、観客を楽しませるということが行き過ぎてしまった結果生まれた演出だと思います。これはこれで一つの流行としてはアリかもしれません。ですが、「ダランとして人形を、道具を大切にする、敬意を払う」という姿勢を犠牲にしてしまっているということになるかなと、わたしはローフィットさんの言葉で、昨日になって初めて気づくことができました。

 

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(飛ばされるスンクニの図)


道具を大切にすることはわたし自身もすごく大切なことだと思っています。そのことにあらためて気づかせてくださったローフィットさんに心から感謝します。

 

 

 

好きなことを目の前にしてキラキラしている人ってまわりにいると思うのですが、日暮里公演や昨日のワヤン会場でのローフィットさんがまさにそうで、こんなに心からワヤンを愛している方と、ソロで一緒にワヤンを観ることができて、わたしもとても幸せな気持ちになりました。

 


今週末は、今度はわたしがジョクジャカルタに行って一緒にワヤンを観ることになっています。ああ、めっちゃ楽しみ…♡

 

 

 

 


最後になりますが、あらためて、ローフィットさんとご家族のみなさま、楽しい時間をありがとうございました!

 

 

 

今度はあまり間を空けすぎずに更新したいです。読んでくださってありがとうございました。また書きます :)