mainichiwayang’s diary

ジャワでダランとガムラン修行中の大学院生です:)

ジャワの結婚式

先日ワヤンのレッスンに行ったら、先生から「日曜日の夜に息子の結婚式をするからおいで。」と、結婚式に招待していただきました。今回はジャワの結婚式がどんな様子なのか書いてみたいと思います。

 

今回の会場は大学のプンドポでした。(ジャワの伝統的な柱と屋根だけの吹き抜けのような建物。ガムランをはじめ色々な催しで使われます。)以前ほかの方がホテルで結婚式をした時に見に行ったことがあったので、ちょっと驚きました。少し出店が出ていたりして、さながらお祭りのよう。かなり大きなプンドポですが、奥に新郎新婦と家族の席があり、それ以外の三方をぐるっと客席が囲みます。ほとんど席が埋まっていたので、かなりの人数だったと思います。わたしの先生はダラン科の先生なので、その他のダラン科の先生方もたくさんいらしていました。

 

会場には花がたくさん飾られ、新郎新婦の席もとても豪華でした。式が終わった後、しばらく見入ってしまいました。ワヤンの時の会場もそうなのですが、ジャワの人はいつもはそこにないものを一瞬にして作りあげてしまうので、驚かされます。左右にグヌンガン(ワヤンの人形の一つ)のモチーフがあるのも、先生らしいなぁと思いました。紺色に近いブルーに黄色の花をあしらった新郎新婦の衣装がとても美しかったです。新婦の細かな花の髪飾りが素敵でした。あらためて、ジャワにはキラキラしたものがたくさんあるなと思いました。そして何より、いつもお世話になっている先生と奥様がとても嬉しそうだったので、わたしも幸せな気持ちになりました。

 

新郎新婦の席の右隣にはガムランの生演奏があり、式中ずっと演奏をしていました。始まる直前、ウィルジュンのブダヤンやミジルウィガリンティアスなど知っている曲も多く演奏されていました。特にウィルジュンのブダヤンバージョンは芸大でも演奏したりしていたのですが、こちらで生で聴くのが始めてだったので嬉しくなりました。おめでたい!その後、ジャワ料理のフルコースをいただきながら、式を楽しんできました。

 

踊り手とともに新郎新婦とその家族が入場してきて、何か儀式を行っている間(カメラマンがたくさんいたのと自分の席の角度的に見えませんでした…)顔を真っ白に塗った(ちょうどワヤンオランの道化みたいなメイク)男女の踊り手がずっと首を振る動作をし続けていたのが気になりました。それが終わると、彼らはそれぞれ新郎新婦の席の左右にずっと座っていました。彼らはどんな役割なんだろう…

 

そのあとISIの先生が二人ご挨拶されました。その間中、新郎新婦の席には、代わる代わる重要なお客様が挨拶に訪れては、みんなで記念撮影をしていました。これ以外の場面でもよく感じるのですが、ジャワの人って本当に写真を撮るのが大好きなのですね…。

 

結婚式でよくあるガンビョン(踊りの名前)あたりが行われるのではないかと思っていたのですが、今日はガンビョンとは全く雰囲気の違うエネルギッシュな男女の踊りが二つ披露されました。以前、今日のために東ジャワの曲を練習していると友人に聞いたことがあったので、おそらく東ジャワの踊りだと思われます。なぜそれなのかは今度先生に聞いてみたいです。(お嫁さんのルーツがあるとか、そういうことなのかなぁと予想しています。)一つ目は踊り手が足に鈴をつけていたのが特徴的でした。黒と赤の衣装にキレのある振りがとてもかっこいい踊りでした。二つめは二組の男女がペアになって踊る舞踊で、特に音楽が中部ジャワと全然雰囲気が違うのが強く印象に残りました。ところどころ重音を使ったり、細かくスピード感のある旋律はバリのガムランに似ているようにも思われました。東ジャワはワヤンをはじめ、芸能がとても盛んな地域だといいます。音楽のエネルギーに、東ジャワの風を感じた気がしました。こういう、芸能に溢れた結婚式はジャワらしくて素敵です。

 

最後に、一人年配のおじさんがお話をして、式が終わりました。途中コーランの朗唱のようなことをしていたり、agama(宗教)がどうとか言っていたので、おそらくイスラム教に関するお話だったのでしょう。(ジャワ語だったので何を言っていたかはわかりませんでした。)途中、お客さん側から笑いが起きたり、話の内容について反応があったりしていたので、もしかしたら有名な話だったのかもしれません。このおじさん、立ったり座ったり、歩き回ったりしながら、時にはある方向の観客に畳み掛けるようにして話を進めていました。何を言っているかはさっぱりでしたが、観客の心を掴んでいることだけははっきりわかりました。

 

ジャワではこういう長々としたお話や、芸能を上演する前の演説をよく耳にします。それについてわたしは、おそらく、そういう「かたり」を大事にしている文化なのだろうと思っています。そして、それは大体いつもジャワ語で行われます。ジャワ語を理解できる若者が少なくなってきているということが問題視されてもいるようですが、大切なことは今もやはりジャワ語なのです…。ワヤンでもジャワ語で上演が行われるので、わたしも少しずつ勉強しているところですが、まだまだ難しいです。ジャワやワヤンにおける「かたり」というのはいつか取り組んでみたいテーマでもあります。ジャワにおける語ることの重要性や、大事なことはジャワ語でということをあらためて思い知らされた機会でもありました。

 

とても豪華な式だったので、ぜひ写真もご覧ください。ではまた!

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